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2019.11.30

回顧録

僕の研修医時代は東京にいました。

 

1年目は僕の本拠地であった東大病院で仕事を覚えるのですが、麻酔科の知識も必要ということで外部研修にも行かせてもらいました。

 

麻酔科研修に行かせていただいたのは東京警察病院です。今では中野区に移転してしまいましたが当時は飯田橋の駅のすぐそばにありました。

 

研修医の仲間はいつも5−6人くらいでしたか。立場が弱い研修医ですのでみんな仲良く結束が強かったように思います。

 

いまでも仲の良い友人もいて、現在彼は仙台では有名な美容外科をやっています。(本当に腕のよい美容外科医ですのでご紹介しますよ)

 

麻酔科では患者さんに綺麗に麻酔をかけて無事手術を終わらせることが重要ですが、麻酔をかける前の診察も重要です。

 

僕たち研修医は手術前日の夕方に患者さんのところを尋ねに行って現在の全身状態や既往歴などを聞きに行くのです。ラウンド、と言っていました。

 

ある日のラウンドのことです。

 

ラウンドは通常数名の患者さんです。警察病院ですので警察官など警察関連の方の患者さんがとても多かったです。(一般の方も入れます)

 

その日僕が受け持った患者さんはカルテを見るとどうやらSP(要人警護)の方のようでした。

 

「失礼します」いつものようにカーテンを開けて入っていくと体格の良い大柄な男性が2名。

 

僕は自分の仕事が気になっていたのでしょう、顔も上げずに仏頂面で「すみません、今から診察があるので少し席を外してもらえませんか?」と事務的に指示しました。

 

そうしたら背が高い方の男性から「すみません、それではすぐに出ます」と低い、張りのある声で返事がありました。

 

どこかで聞いた声だな、と思ってふと顔を上げると

 

中曽根康弘!

 

そうです、そこに立っていたのは昨日亡くなられた稀代の首相、中曽根康弘氏だったのです。

 

自分のSPのお見舞いにこられていたようでした。

 

少し無礼なことをしてしまったかな、と自分を恥じながら問診を終えて仕事場のオペ室に戻りました。

 

中曽根氏は非常に立派な体格の持ち主でゆうに180cmはあろうかと思うほど背が高く、体も大きくてがっしりしていたと覚えています。

 

あと、その素晴らしい声。

 

あの体格があってこそ当時アメリカと同等に渡り合えたのかもしれません。

 

また昭和が遠くになりました。

 

僕の若い頃の思い出です。

 

合掌。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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