今日も咲くらで

院長ブログ

2021.05.11

アトピー性皮膚炎

デュピクセント

今やアトピー性皮膚炎はほぼ治せる時代に

当院には毎日のように「重症」アトピー性皮膚炎の方が来院されます。

 

私は昔から重症アトピー性皮膚炎治療を研究していまして、途中なかなかうまくいかない時期も長かったのですが、現在ではだいぶその形は決まってきたと感じています。

 

重症アトピーとはどういう人を指すかというと、基本的には「外用剤だけでは痒みや皮疹がコントロールできない人」を指します。

 

外用でダメなら内服を併用すれば良いではないか?という意見もあるかと思いますが、アトピー性皮膚炎には通常の抗ヒスタミン薬はほぼ効果がありません。まれに効果を発揮する人がいますが、ごくわずかです。

 

現在どこの教科書にもアトピーの痒みには抗ヒスタミン薬を投与する、と書いてありますが、コレがほんとに効かない。なぜかというとアトピー性皮膚炎の痒みが起きるシステムはヒスタミンを介さないものが大部分だからです。

 

アトピー性皮膚炎の痒みはヒスタミンではなくIL-4、IL13などの伝達物質を介するものがほとんどである、との研究結果があります。

 

すなわちアトピーではこれらの伝達物質をブロックすれば痒みがなくなる、というわけです。

 

現在はこの伝達物質をブロックできる方法があります。

 

一つはシクロスポリン、免疫抑制作用をもつ内服薬です。もう一つはデュピルマブ、伝達物質IL-4,IL-13をブロックする注射薬です。

 

シクロスポリンは2010年ごろからアトピー性皮膚炎の治療に適応が追加され、当院でも多くの患者さんの痒みを救うのに役立っています。欠点としては免疫を下げてしまう作用があり、感染症に対してやや抵抗力が弱まるので現在のコロナ禍にあっては少々使いにくい側面があります。価格も少々高めで2週間で3-4千円の負担です。副作用は少ないながら頭痛や倦怠感、胃もたれなどの症状が出ることがあります。定期的な採血も必要になります。しかし効果が出ると本当に痒みが楽になります。外用薬が効かないと感じたら試してみる価値のあるお薬です。

 

デュピルマブはほぼ特効薬と言っても良い薬です。アトピー性皮膚炎が起きる原因物質IL-4,IL13のみをブロックしますので副作用が極端に少なく、安全に皮膚炎のコントロールができます。主な副作用は目が痒くなること、です。この理由は不明。お値段は高いです。3割負担の方で一回2万円ほど。これを2週間に一度注射します。当院では最重症のアトピー性皮膚炎の患者さんが多く通院していますが、ほとんどの方の症状はこの薬で消失あるいは軽減します。まさに夢の薬でしょうか。

こちらの方は当院の中でも最も重症のアトピーの方でした。全身の9割以上の部分に皮膚炎があり、手のひらと足の裏以外正常な皮膚はない、というくらいの重症の方です。この方にデュピルマブを投与しますと50年来のアトピー性皮膚炎がみるみる良くなり、ゴワゴワだった皮膚もすべすべの柔らかい皮膚へと戻りました。ほぼ奇跡をみたような気分でした。

同じ方の腕の写真。デュピルマブ投与前は赤くてボコボコザラザラの皮膚でしたが、デュピルマブ投与で痒みはなくなり、すべすべの皮膚に戻りました。炎症がなくなったので赤みは取れ、正常な肌色が戻っていることがわかります。

 

このように現在ではかなりの重症アトピーであってもデュピルマブ投与でなんとかなってしまいます。本当に良い時代になりました。

 

昔、医者に行っても治らないからといって脱ステだー、漢方だー、と特殊治療に手を出していた人でも現在ではデュピルマブを投与すればたちどころに綺麗になっていきます。今やお金さえ払えばアトピー性皮膚炎はほぼコントロールできるようになった、といっても過言ではありません。

 

ただしデュピルマブには投与基準があります。まずステロイド外用を含む標準治療をしっかり受けること(6ヶ月以上)、きちんと医師の指示通り外用ができ指示通り通院ができること、重症度が規定以上あること、などです。これらの条件がクリアできる方にデュピルマブは投与できます。

 

医師の言うことが聞けず勝手な自己判断で治療を進めてしまう人、チャランポランな人には適応がありませんので悪しからず。

 

重症アトピーでお困りの方がいらっしゃいましたらどうぞご相談ください。いつでもその改善のお手伝いを約束いたします。