今日も咲くらで

院長ブログ

2019.01.25

アトピー性皮膚炎

デュピクセント

アトピーの新薬・デュピクセント のリアルな効果。

昨年発売されたアトピーの新薬・デュピクセントですが、導入以来大変素晴らしい治療成績が得られています。

 

現在咲くらクリニックでは現在40名余の重症アトピーの方がデュピクセント注射をうちにいらっしゃっています。

 

デュピクセントはEASIスコアでいうと72とか、66とか、既存のお薬では到底改善しえなかった重症アトピー性皮膚炎を著明に改善させる効果があります。その効果は驚きの一言です。

 

デュピクセントはステロイドの類ではありません。デュピクセント はアトピー性皮膚炎の病態の根幹に関わるTh2型炎症を止める作用があります。もう少し詳しく言うと炎症反応を導くインターロイキンという伝達物質の一部をブロックすることで炎症の悪循環を停止させて皮膚炎を沈静化させます。

 

現在のところ副作用が極端に少なく、効果がものすごく高いのがデュピクセントの特徴です。

 

ただその分高価なお薬でもあります。

 

3割負担の方で1回約25000円。それを2週間に一度月2回注射します。つまり月5万円かかる計算です。(今年の5月からは自己負担がかなり軽減される予定)

 

 

 

今日は当院で治療中の最重症アトピー患者さんのお写真をお見せします(患者さん本人の許可を得て掲載)

 

EASIスコア72   IGA4   全身の95%に皮疹あり。アトピー罹患歴50年以上。全身高度苔癬化。四肢に痒疹結節多数。

「私はもう治らないとあきらめています」と以前はおっしゃっていた患者さんです。

 

デュピクセント開始時。

既存の治療を行なっているにも関わらず炎症が高度で背中全面が苔癬化しています。(不正コピー防止のため加工)

腕はボコボコした痒疹結節に広く覆われています。もちろんずっとかゆい状態です。

 

デュピクセントが発売されると同時に治療をオススメしましたところ、少しでもよくなる可能性があるなら、と治療開始。

 

↓ デュピクセント治療開始後6ヶ月の写真です。

苔癬化は軽減され、ほぼすべすべの皮膚に戻りました。

腕にあったボコボコしていた痒疹結節は全く消失しています。皮膚は柔かくなり痒みはほとんど気にならなくなりました。

 

このように長年治らないと諦めていた重症のアトピー患者さんであってもかなりの改善が見込めるのがデュピクセント です。

 

(この患者さんは他の患者さんの参考になるなら、とお写真の使用に同意していただきました。大変ありがとうございました。)

 

他にも、温泉に入れるようになった、綺麗な皮膚が出てきた、汗をかけるようになった、QOLが改善した、痒みがほとんどなくなった、と多くの患者さんが喜んでくださっています。

 

しかしデュピクセントで全ての人が100%改善するわけではありません。ただ既存の治療よりも治療満足度が大変高いお薬であることは間違いなく言えるかと思います。

 

このように素晴らしい効果のデュピクセントですが実はデュピクセントを導入している病院はまだとても少ないのです。

 

来月には私たちの使用経験について講演会を行う予定になっています。

 

重症アトピーの患者さんが少しでも楽になれるよう講演会を通じてデュピクセントを広めたいと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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