今日も咲くらで

院長ブログ

2018.05.11

アトピー性皮膚炎

デュピクセント

アトピー性皮膚炎の新薬・デュピクセントの追加情報/適応についての注意

先月末に発売されたアトピー性皮膚炎の新薬・デュピクセントですが、大変反響が多い毎日です。

 

現在、当院受診中でかつデュピクセントの適応になりそうな患者さんに順番に声を掛けていますが、まあ適応になる患者さんの多いこと。ほんとうに重症の患者さんが多いのだなあと痛感しています。

 

当院のブログ、HPをみて遠方からきてくださる方もいらっしゃるのですが、残念ながら適応とならない方も多くいらっしゃいます。

 

デュピクセントの適応にならなかった方で多いのが以下の2点です。デュピクセントをご希望される方はご一読をお願いいたします。

 

1)現在までに十分な治療がなされていない。

現在受診されている医療機関のせいなのか、自分で調整してしまっているのかどちらが原因かはわかりませんが、皮膚の状態をみると外用剤(ステロイド、プロトピック等)による外用療法が不十分な状態で受診される患者さんが多い傾向にあります。デュピクセントの適応は十分な外用療法がなされているにも関わらず改善しない中〜重症のアトピー性皮膚炎の患者さんに適応がありますので当方で外用剤の治療が十分になされていない、と判断された方にはデュピクセントは使用しません。適否については現在処方中の薬剤(適切なランクが処方されているかどうか)、薬剤の使用状況(十分な量を外用しているかどうか)、および現在の皮膚炎の状態を見て判断します。十分な治療がなされていない方にはまずステロイド外用剤による治療を受けていただいています。

 

2)デュピクセントを脱ステができるための薬と考えている。

デュピクセントはおよそ4ヶ月の使用で現在の皮疹が半分となる〜ほとんど消失する可能性がある薬剤です。その結果ステロイド外用剤がいらなくなるのではないか、あるいはステロイドを塗るのが嫌だからやりたい、という患者さんがいらっしゃいますが、デュピクセントを注射してもステロイド外用剤がいらなくなるわけではありません。アトピー性皮膚炎の治療の基本はステロイド外用剤であることは変わりません。この点はぜひご留意いただくようお願いいたします。

脱ステを目的に来られる方がいらっしゃいますが、十分なステロイド外用治療を行っていても十分な治療効果が得られない方に対してデュピクセントの適応がありますので、まずどなた様もステロイド外用剤による標準治療を適切に行っていただくことが必須条件になります。したがって脱ステが希望の方であっても当院が指導するステロイド外用剤治療を一定期間行っていただいています。ステロイド外用剤治療に同意できない方はデュピクセントの適応はありません。

 

 

デュピクセントは大変素晴らしいお薬です。その反面大変高価なお薬でもあります(約8万円)。幸いなことに現在の日本では私たちは治療費の3割しか払わなくて済んでいます。すなわち残りの7割は誰かが払ってくれているのです。その資金はみんなから集めた税金です。ですからアトピーならどんな状態でも投与して良いというような考えで使用してはいけないと思っています。みなさんがお勤めの会社にもルールがあるように、使用に際しては決められたルールがありますので皆できちんとルールを守ることが肝要です。

 

 

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