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院長ブログ

2022.10.31

脇汗の治療

学会/講演会

講演のお仕事で富山まで。脇汗の治療薬・ラピフォートワイプの有用性について。

土曜日の診療終了後から富山に移動。

 

日曜日は富山市で開催された日本皮膚科学会中部支部学術大会(つまり学会)で講演をしてきました。

 

講演の内容は原発性腋窩多汗症(脇汗)の治療薬「ラピフォートワイプ」について。

 

 

汗で困っている人は相当数にのぼると推定されています。2020年の調査では汗で困っている人は国民のおよそ10%、そのうちの6割が脇汗で困っていると回答したそうです。

 

国内では2020年に初の原発性腋窩多汗症治療薬「エクロックゲル」(塗り薬)が発売されました(写真右)。いままでになかった画期的なお薬だ、ということで当時大変な話題を呼びました。

 

しかし一般の方には脇汗の治療が保険治療でできることはまだ浸透していません。当院がインスタを使って学会前にとったアンケートでは約60%の方が脇汗の治療が保険でできることを知りませんでした。

 

さて、今年新しく発売された原発性腋窩多汗症(脇汗)の治療薬「ラピフォートワイプ」(写真左)はお弁当についているお手拭きのような形をしています。中には薬液に浸された不織布が入っており、中から取り出して両脇を1回ずつ拭くだけ。なんだか頼りない感じがしますが、なかなか作用は強力です。

 

このラピフォート、効果の発現がとても早いのです。使用開始1週間後でも83%の方が脇汗の量が50%減る、という結果が出ています。

 

また多くの方に安定して効果が発現する傾向にあります(当院のアンケート調査による)。

 

さらに従来の汗を止めるお薬(古くは自作の塩化アルミニウム溶液)は塗ったところが痒くなりやすく、私たちにとっては「汗を止めるお薬は痒くなって当然」みたいなところがあったのですが、このラピフォートは局所の痒みや皮膚炎をほぼ起こしません(0.6%、第II/Ⅲ相臨床試験から)。

 

私たちは今回の学会発表のために使用中の患者さんへのアンケート調査を行いました。

アンケート結果を分析したところ、このラピフォートは速く、より確実に効いて、局所の副作用が大変少ない良い薬だ、ということがわかりました。ラピフォートの名前の由来も Rapid  & Comfort  からだそうです。なるほど。僕は「脇汗の治療薬はどれも似たり寄ったりだろう」と勝手に思い込んでいましたが、どうやら違ったようです。

 

このラピフォート、まだ新薬なので投与制限があり処方は2週間までとなっています。来年の5月までは2週間処方になりますが、みなさまの悩みを解決するアイテムの一つとして認識していただければ幸いです。

 

脇汗で悩んでいる方は外来までご相談くださいませ。

 

今週もがんばります。

 

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