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院長ブログ

2022.05.27

診療室から

ロゼックスゲルが「酒さ」の病名で保険適応になりました。

当院でニキビダニや口囲皮膚炎の治療目的でたくさん処方しているロゼックスゲル®︎(成分名:メトロニダゾール)が5月27日から「酒さ」の病名に対して保険適応となりました。

 

ロゼックスはこれまでは乳がん等のがん性潰瘍から発せられる「悪臭を抑えるためのお薬」としてのみ保険適応でした。

 

このロゼックス、昔から「酒さ」によく効くお薬として皮膚科医はたくさん処方していました。ですがなぜかずっと保険適応ではありませんでしたので仕方なく実費で購入していただく、という形を取らざるを得ませんでした。

 

このたび「酒さ」に保険適応となったことで処方しやすくなりました。また自費から保険適応になり患者負担も大幅に減ります。

当院では月に1kg程度の処方がありましたから当院に通っている患者さんにとっては朗報です。

 

さて、「酒さ」という病名、少々曖昧に使われていることが多い病名です。

酒さとは簡単に言うと、頬や鼻が赤くてぶつぶつしている状態なのですが、赤くぶつぶつした現象は色々な原因で起きます。

 

毛包虫(ニキビダニ)

尋常性ざ瘡(にきび)

口囲皮膚炎

毛細血管拡張

マラセチア毛包炎

ステロイド外用剤等の副作用

鼻瘤(びりゅう)

 

一般的に酒さと診断されているものを細かく表現しますとこれくらいの病名に分けれられます。

ですがこれらをちゃんと区別でき、かつ治療できる医師はそうたくさんいません。

 

例えば医学雑誌に「酒さ」である、と書いてあるその写真は明らかに「ニキビダニ」だなと思うことがよくあります。

うちのスタッフに見せても「それ、ニキビダニでしょ」というくらい明らかなニキビダニ症例を

「酒さである」とどこかの先生が記述していることはかなりあります。

ニキビダニを酒さと表現するのは間違いではありませんが、もう少し正確に診断しても良いのではと思います。

 

また、ステロイドで治らなかった皮膚炎を漢方で治癒させた、と自慢げな症例報告の「自称酒さ」の写真は僕らが見ると明らかに「口囲皮膚炎」。

単純にステロイドをやめさせて治っただけなのに漢方で治ったと高らかにうたっていることがよくあります。

 

この2例はいずれも事実なのですが、このように酒さを正確に診断できる先生は大変少ないと思われます。

 

「酒さ」という状態は色々な病態を含みますので検査などを行ってきちんと診断してあげることで患者さんは安心します。

病名によって治す方法も違えば治るまでの時間も違ってきますから。

 

さて、この酒さの治療法ですが、実はあまりバリエーションがありません。

ニキビダニや口囲皮膚炎ではミノサイクリン内服とロゼックス外用で対応できます。

ニキビダニが検出できない単なるニキビならニキビ用の軟膏があります。

血管拡張ならVbeam(血管用レーザー)を照射します。

鼻りゅう(鼻がでこボコ)なら電気メス等で削ります。

一つだけ言えるのはステロイドやプロトピック、コレクチム外用では治りません。

 

 

全然診断する自信がない、と思うならミノサイクリンとロゼックスを処方すれば大抵は治ります。

今回ロゼックスが保険適応になったことでだいぶ皮膚科医を助けますね。

 

今回の適応拡大により、医師患者双方にとってまたより良い世界になりました。

適応拡大に尽力くださったマルホ株式会社の方々、感謝申し上げます。

 

 

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