脱ステロイドは意味ない?重症アトピーの治し方
脱ステロイドは意味ない?重症アトピーの治し方
重症アトピーの治療法として皮膚科医が選択することもある「脱ステロイド」。
本記事では、脱ステロイドによって本当にアトピーが治るのか、当クリニックの患者様の例を挙げて解説します。
脱ステロイド療法とは
最近では珍しく重症アトピーの患者様が2人来られました。重症例は当院では珍しいことではありませんが、今回の重症例は2人ともいわゆる「脱ステロイド」を行なっている方でした。
脱ステロイド療法では炎症を起こしている皮膚に対し外用剤を使わずひたすら保湿のみで放置するわけですが、これは一種の荒治療。
皮膚の炎症が極限まで悪くなると、人間の体は「命の危険」を感じて副腎からステロイドホルモンを大量に放出します。
ほぼ死ぬ間際と同じ状況が作り出されると、体からは悲鳴にも似た断末魔のステロイドホルモンが放出されるというわけです。
脱ステロイドは長続きしない
ステロイドホルモンが放出された結果、皮膚はまるでステロイドをがっつり塗ったかのように“一瞬だけ”改善したようになります。
もちろん死ぬ間際の緊急事態のホルモン動態ですから長続きするわけもなく、その効果はホルモン放出がある程度済むと終わります。
つまり、脱ステロイドは長続きしないのです。
重症アトピー治療の歴史
当クリニックの特性上、あまり長い時間お話を聞くことができませんが、短い時間ながらその2人の辛い半生を聞きました。なぜ脱ステロイドに走ったか。なぜ標準治療をやらないのか。
残念ながら今から7年と少し前まで、超のつく重症アトピーを改善に導くお薬はありませんでした。
当時はステロイド外用剤と痒み止めの抗ヒスタミン薬だけ。アトピーの痒みには抗ヒスタミン薬は効きません。つまり「ステロイド外用だけでなんとかしろ」という世界でした。
今を思えば絶対治るはずがありません。17年前にシクロスポリンが適応になってから、ある一定の割合で重症例の方は改善できるようになりましたが、あと残り数%の方がどうしても改善しないのです。
そして7年と少し前にデュピクセントが発売されてからやっと、多くの重症例の方を救済できるようになりました。重症例の治療にはシクロスポリンにしろ、デュピクセントにしろそれなりにノウハウのいるお薬です。
脱ステロイド療法が始まったきっかけ
では町の開業医さんでは、本当に効果のある治療をみんなやっているのか? 残念ながら答えは「いいえ」です。
アトピーの患者さんは全国くまなくいます。しかし、重症例をきっちり治せるお医者さんが全国にくまなくいるかというと、そうではありません。
先日来院された重症のアトピーの患者様たちは、皆近所のお医者さんに通院していたそうです。そこでいつも同じお薬を黙って処方されるだけ。
「一向に治らない」「良くなった感じがしない」「いつまでやったらいいのだろう?」「ステロイドが悪いっていう話も聞くし」「皮膚はなんだか変わってしまった感じもするし」「ステロイドを塗ってても治らないってことはやっぱりステロイドが悪いのかな」「ステロイドをやめてみようかな」「誰かがステロイドをやめたら良くなったって書いてるし」「いっそのこと治療をやめてみよう」このような経緯だったのだろうと想像します。
重症アトピーに対するステロイド治療のビフォーアフター

で、その脱ステの結果は大体これです。この時点で患者様は相当医者不信に陥っています。先日の方々もそんな感じです。
こちらの話の半分も信用してくれません。「どうせこいつもステロイド出すんやろ」「いつもと同じやろ」てな雰囲気でしょうか。仕方ないですよね。今まで散々裏切られてきたのですから。
さてこの状態、もっと我慢したら治るのでしょうか?答えはノーです。脱ステ効果は先に書いたように、命の危機に瀕して一瞬良くなったものと考えられますから長続きしません。
その一瞬の改善をもう一度と思いたい気持ちはわかりますが、再度死ぬ寸前まで追い込まないと体験できません。そこで今までのお医者さんがやってこなかったであろう外用指導を「きちんと」イチからやり直すと、1ヶ月後つるつるになりました。

先ほどの写真が同じ患者様のビフォー。そしてこちらがアフターです。嘘のようで本当の写真です。ただし、こんなにうまくいく人はもちろん全員ではありません。
「外用だけじゃ絶対無理」と言う方は大勢いらっしゃいます。アトピーの患者様の一部がステロイド外用剤を嫌いなものわからなくはありません。
私はおそらく愛知県で最も大量のステロイド外用剤を処方する医者の1人だと自負していますが、ステロイド外用剤の年単位の長期外用ではやはり皮膚の変性があります。
とある偉い元教授先生は「日本人はステロイド塗らなさすぎるんじゃ〜。もっと塗らんか〜。海外ではね〜チューブはもっと大きくてね〜」なんていつも吠えています。事実ではあります。
ちゃんと塗ってない人がほとんどだということも知っています。ついでにちゃんと塗ることを教えていない医者がたくさんいることも。
しかし、大量に年単位でステロイドを塗るとやはり皮膚も変わってきます。皮膚が薄くなり、血管拡張が出て汗も減ります。
わかってても今のところステロイドを使うしかないのです。それはステロイド外用以外有効な方法がなかったから。
ステロイド外用に替わる「デュピクセント」の登場
非ステロイド外用剤も最近は充実してきましたが、そちらはまだ効果が弱すぎて重症には使い物になりません。
まだ科学がそこまで達していないからステロイド以外に選択肢がありません。7年前のデュピクセントの登場は鮮烈でした。ステロイド外用剤がいらなくなる方が9割くらいですから。
痒みは止まるし、ぶつぶつもなくなるし、ステロイドいらなくなるしで皮膚はどんどんよくなっていきます。
ステロイドが必要なくなっていくので、ステロイドの持つ特有のマイナス面も出なくなりますから、綺麗な皮膚になります。 先日お越しいただいた脱ステロイド患者様には、今の時代では「どんなに重症でも僕の腕と同じくらいツルツルにしてあげられる」というようなことを説明しました。

ただし、デュピクセントを導入するには「標準のステロイド外用剤治療」を6ヶ月以上続ける必要があります。超上から目線で書くと「半年間、僕の言うことをちゃんと全部聞けたらデュピクセントをやってあげられます」ということです。
「こいつ何を偉そうに」と思われるかもしれませんが、それが保険を使って治療する条件なのです。国が決めていることなので致し方ありません。 お国の言うことを聞けない人は保険を使わなかったらいいだけの話です。
デュピクセントは1本58,593円。そこに自費治療だと消費税が乗るから64,452円。これはほとんど仕入れ値と同じ価格ですので、そこにうちの儲けも乗せるから。
これを2週間に一度打ちます。保険使わないと無理ですよね。
まとめ
脱ステロイドの元凶ははっきり言って医者不信、医療不信。医者のやる気と治療アイテム不足が原因です。
誰しもが簡単に治る方法がずっと前からあって、どこの病院でも簡単に手に入っていたならこうはならなかったはず。
でも今はあるんです。脱ステロイドの方々、医者をもう一度信じて治療を行ってみる気はないでしょうか?
重症アトピーや脱ステロイドの症状でお悩みの方は、ぜひ当クリニックまでご相談ください。
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