院長ブログ

顔がかゆいのは顔ダニのせいかも？写真から症状を解説

2025.05.22

「何やら顔がかゆくてぶつぶつができていたのでニキビ用のクリームを塗ったがよくならない…」

これ、もしかしたら顔ダニかもしれません。ニキビダニと呼ぶ場合もあります。

本記事では、実際の写真を見ながら、顔ダニの症状や治し方について解説していきます。

ニキビと顔ダニの見分け方

この方の所見として、顔中に少し痒みがある皮疹が多発しており、その皮疹は顔だけに限局しています。

近所の皮膚科に行ったところ「ニキビです」と言われてクリンダマイシンを処方されました。

塗ったところの皮疹は少し引いても治りきることはなく、ずっとかゆみが続いていました。2軒目の皮膚科に行ったら次は湿疹と言われ、ロコイド軟膏やコレクチム軟膏を処方されました。

「一瞬治った気がしましたがすぐに繰り返してしまいます」といって当院にやって来られました。

当院ナースはこれをみてすぐに検査の用意ができたら一人前です。うちのナースなら13人中10人は正解してほしいところです。正解は顔ダニ。ニキビダニとも言われます。

まず普通のニキビでしょうか？通常のニキビの後発年齢は皮脂腺が活発な10代から20代です。

30代でもニキビができなくはないですが、少し好発年齢から外れています。あと、思春期ニキビができていた方がいれば当時を思い出してほしいのですが、ニキビではかゆくなることはあまりありません。

写真からわかるように、ニキビにしてはだいぶ細かい皮疹ですね。湿疹でしょうか？確かにかゆみがありますので湿疹の診断をしてしまいそうです。

ステロイドも出されていますが、イマイチしっくりきていないようです。化粧品による接触皮膚炎という考えもありますが、接触皮膚炎にしては皮膚炎がマイルドすぎます。

本物の接触皮膚炎は腫れ上がるほど強い皮膚炎のことが多いかと思います。

おでこに注目すると、皮疹は比較的左右対称で眉間付近のいわゆる脂漏部位に集中しています。

接触皮膚炎ではこう綺麗にはいきません。この時点で「ニキビダニかも」と想像できれば100点です。

検査は少し痛いですが、ピンセットで膿をもった箇所をつまんで採取し、顕微鏡で見てみます。

そうしたら顔ダニが数匹確認できるはずです。多い時は一つの毛穴に3～4匹顔を突っ込んでいるのが見えます。

日本では顔ダニという俗称で呼ばれることが多いですが、日本語での正式名称はニキビダニといいます。

頭胸、腹があり、足が8本ついています。同じ節足動物であるクモに近い種であるといえます。毛穴の皮脂を食べて毛穴に住んでいるので毛包虫とも言われます。

顔ダニは昼間は皮脂を食べて生活し、夜は皮膚の上で交尾をして繁殖します。寿命は2週間ほど。昔は肛門をもたず、食べすぎて死ぬと考えられていましたが、最近の研究で肛門が確認されたそうです。

顔ダニが皮膚炎を起こす原因は、ニキビダニそのものに対する免疫反応よりもニキビダニのフンや内在細菌などに対する免疫反応といわれています。

ニキビダニがいては絶対ダメということはないのですが、存在することで余計な皮膚炎をおこしたりするのがマイナス点。治療はミノサイクリン内服（1日100mgで十分）とロゼックス外用です。

ステロイド、コレクチム、プロトピック等は全部やめましょう。誤診していなければ約２ヶ月で完治します。早いと写真のように１ヶ月。誤診してステロイドを塗っていたらやめさせてから４ヶ月くらいかかるケースもあります。

顔ダニの症状は、ぱっと見普通のニキビや湿疹にみえなくもないので結構誤診が多いです。当クリニックには週に何人もこういう相談がやってきます。

だから僕はすっかりニキビダニ博士になりました。30代以降のこういう皮疹ではニキビダニの可能性を常に頭に入れましょう。

ちなみに10代、20代では通常のニキビばかりで不思議とニキビダニはほとんど見られません。

ニキビがなかなか治らずお悩みの方は、ぜひ当クリニックまでご相談ください。

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