院長ブログ

フェイクニュース。ステロイドにまつわる都市伝説。

フェイクニュース。ステロイドにまつわる都市伝説。

フェイクニュース=偽の情報。

トランプ大統領の発言ですっかり有名になりましたが、フェイクニュースはトランプさんについてだけでなく医療に絡むネタでも毎日大量に発信されています。

特に皮膚科関連では「ステロイド」関連のフェイクニュースが相変わらず出回っているようです。

先日湿疹で受診された患者さんの質問から。 当ブログでは何度もこの手のフェイクニュースの誤りを指摘していますが再度掲載いたします。

ステロイドは危ないものじゃないのですか? →

ステロイド(副腎皮質ホルモン)は人体内の腎臓の横にくっついている臓器「副腎」から作られる生理活性物質です。もともと危険な物質ではありません。

ステロイドを使うと顔が丸くなるっていうんですけど →

それは内服ステロイドの副作用です。内服ステロイドを長期大量に使用するとムーンフェイス(丸顔)になります。外用ステロイドとは全く関係ありません。

ステロイド外用の副作用は黒くなる? →

ステロイドの副作用は色素脱失(白抜け)です。黒くはなりません。(写真)↓

ステロイド外用部分が白くなっています。これが副作用です。最も強力なステロイドを外用した時に出現します。子供に使用するような弱い軟膏では起こりません。

ステロイドを塗った後に日焼けすると黒くなると聞きましたが →

ステロイドを外用すると局所の炎症が治まり、治癒後に色素沈着が起きることがあります。これは皮膚を保護するための生体の正常な反応です。このフェイクニュースの場合、炎症が治まった後の色素沈着と日焼け後の色素沈着が混同されています。色素沈着=黒い → 日焼けのため、という間違った解釈からくる誤った知識です。黒くなるのは日焼けのためではありませんしお薬のせいでもありません。治癒後に起きるごく自然な生理的現象です。さらに派生して「ステロイドを塗った後は日焼けをしてはいけない」というよくわからないフェイクニュースも実在します。もうめちゃくちゃです。。

ステロイドは体内に蓄積する? → ステロイドは前述の通り人体内で生成されます。生成されたステロイドは副腎で作られたのち代謝され、尿中に排出されます。ステロイドは外用しても内服しても同じく代謝されて尿中に排出されます。もしもステロイドが蓄積されるのなら2度とお薬を飲んだり塗ったりしなくて済みますよね!これが本当なら治療のためにステロイドが大量に必要な難病患者さんはたちどころに治ってしまうことでしょう。 ということで明らかなフェイクニュースです。

僕がこの地に開業して15年、最初はこんな患者さんばっかりで説得するのが大変でしたが、15年かけてこの地域の皆さんには誤解を解くべく丁寧に説明して来ました。

そのためこのような質問をする患者さんは地域からほぼ完全にいなくなりましたが、まだこのようなフェイクニュースを信じている人がいることにまだまだ自分の力が足りていないなあ、と少し残念に思いました。

こんな患者さんはもういないと思ったのにな、、とよくよくカルテを見るとこの患者さんはだいぶ遠方から来られた方のようでした。医療レベルや患者さんの病識は地域によってずいぶん差があるのだなあ、と痛感する次第です。

このようにブログを使って発信することでこの地域以外の患者さんの誤解も解くことができる、と自分は信じております。

だからこれからもブログ頑張ります。

※怖ろしい本当の話を一つ。 稀に子供のアトピー等に対してステロイドを拒否する母親がいます。皮膚のかゆみをとるには安全なステロイド外用剤を使うのが一番確実です。現在の医療レベルにおいてはステロイドを拒否されますとアトピーの治療はほぼ全くと言っていいほどできません。治療がきちんとできていないと皮膚はずっと痒く、いつも掻いている子になります。かゆみは昼間だけでなく夜間も続きます。夜間のかゆみが取れないと継続的に不眠(子供の場合一見よく寝ているように見えますが不眠状態。)になり、結果成長ホルモンの分泌が減り、成長障害をきたします。ステロイドを拒否する母親を持つ患児は身長が伸びず、小さく、痩せている子が多いことが小児科医師より指摘されています。 科学的根拠のない、どこかのネット記事を読んだだけのステロイド拒否は誰も幸せにはなりません。

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執筆・監修

小林 直隆

医療法人美心研 理事長/咲くらクリニック 総院長

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1996年三重大学医学部卒業。東京大学形成外科等での診療を経て、2003年咲くらクリニック開設。アトピー性皮膚炎・にきび・酒さ治療、美容レーザーを専門とし、医療機器メーカー各社の講師として全国で講演活動を行う。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本形成外科学会ほか所属。

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