院長ブログ

シミ取りは「レーザー選び」がすべてじゃない

2026.10.06

シミ取りは「レーザー選び」がすべてじゃない

先週末のレーザー医学会でお話した「シミ治療」の話をしましょう。

「シミを取りたいんですけど、どのレーザーが一番いいですか?」

これは診察でよく聞かれる質問です。

ルビーレーザー、ピコレーザー、IPLなど、最近はいろいろな機械がありますから、患者さんからすると「結局どれが一番取れるの?」となります。しかし、シミ治療はそんなに単純ではありません。

というのも、一見同じような茶色い「シミ」に見えても、その中身はまったく同じではないからです。

老人性色素斑、雀卵斑(そばかす)、ADM、肝斑など。さらに隆起しているものもあれば、色素が表皮にあるもの、真皮にあるものもあります。

つまり、シミ治療においては
「〇〇だからこのレーザー」
というわけにはいかないのです。

先日の講演では「ルビーフラクショナルレーザー」についてお話しました。

ルビーレーザーは694nmという波長を使います。この694nmという波長はメラニンへの選択性が高く、昔からシミやアザの治療に使われてきた非常に優秀なレーザーです。

従来のルビーレーザーは、シミをひとつずつ狙って強く照射する「スポット照射」が基本でした。濃くてはっきりしたシミには非常に良い方法なのですが、顔中に細かいシミがたくさんある場合、全部をひとつずつ照射するのはなかなか大変です。

また、スポットレーザー照射後には炎症後色素沈着、いわゆるPIHを起こすこともあります。

そこで出てくるのが
ルビーフラクショナルレーザーです。
「フラクショナル」というのは、レーザーを細かい点に分けて照射する方法です。

僕が今回講演で紹介した機器では、レーザーを0.5mmほどの細かなドットに分け、正常皮膚を残しながら面として照射していきます。 顔全体に散らばっている細かな雀卵斑(そばかす)や、小さく平坦な色素斑などを、広い範囲でまとめて治療したい場合には非常に使いやすい治療です。

従来のスポット照射と比較すると、PIHを少なくできる可能性があるというのも、この治療のメリットのひとつです。

ただし。

ここが大事なのですが、

ルビーフラクショナルなら何でも安全に取れる、というわけではありません。

実際、僕自身の症例でも照射後に色素沈着を起こした例がありますし、肝斑を悪化させてしまう可能性もあります。

また、大きくて均一な濃いシミならスポット照射の方が向いている場合があります。

隆起した病変ならCO2レーザーなど、そもそも別の治療を選んだ方がいい場合もあります。

ADMのように真皮に色素がある病変では、1回で取り切ろうとするのではなく、治療を繰り返したり、残った病変を改めて診断してスポット照射を追加したりすることもあります。

だから結局、

シミ治療で一番大切なのは「どのレーザーが一番すごいか」ではなく、「そのシミが何なのか」を見極めること。

僕はそう思っています。

そしてもうひとつ。

レーザーを当てて、カサブタが取れて、
「きれいになりましたね。終了!」

でもありません。

レーザー後の色素沈着は、カサブタが取れたあとに出てくることがあります。

ですから、シミのレーザー治療は
照射するところまでではなく、その後の経過を診るところまでが治療です。

これは僕が昔からかなり大事にしているところです。

良いレーザーを持っていることも大切。

でも、

何を打つか。
何を打たないか。
そして、打ったあとをどう診るか。

シミ治療はそこまで含めて考えるものだと思っています。
※すなわち安売りの打ちっぱなしでは改善しないですよ。
ほぼ金ドブ💰

咲くらクリニックでは、シミの種類や肌質を診察したうえで、スポットレーザー、フラクショナルレーザー、炭酸ガスレーザーなどから治療方法を選択しています。

シミ治療をご希望の方は、まずは診察でご相談くださいね。

※治療効果や経過には個人差があります。


2026年10月3日、第47回日本レーザー医学会総会 シンポジウム1

「ルビーレーザー治療〜波⻑694nmにおける今後の可能性を探る〜」内の自身の講演より抜粋。

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執筆・監修

小林 直隆

医療法人美心研 理事長/咲くらクリニック 総院長

略歴を見る略歴を閉じる

1996年三重大学医学部卒業。東京大学形成外科等での診療を経て、2003年咲くらクリニック開設。アトピー性皮膚炎・にきび・酒さ治療、美容レーザーを専門とし、医療機器メーカー各社の講師として全国で講演活動を行う。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本形成外科学会ほか所属。

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